[童話]竜の姿をみた少女
竜の姿をみた少女 28
「人間の世界と同じじゃ」
おじいさんは、笑いながらそういいました。
その時、「ぴゅぅー」と、涼しい風が吹いて
きました。
「かな。この風は、だれが吹いているか、知
っているかな」
「だれが吹いているの」
「竜が吹いているのじゃ」
「竜が?」
「そう、神様の許しをえて、わしらが吹いて
いるのじゃ。風といっても、いろいろな風が
あるね。どんな風があるかな」
「五月、青葉が美しいころに吹く風。私、こ
の風が大好き」
「その風を、何というか知っているか。薫風
というのじゃ」
つづく
「竜の姿をみた少女」は、
みほようこ五冊目の童話集「竜の姿をみた少女」
に収録されています。
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