石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 3
中納言が困っていると聞き、大炊寮(おおいづかさ)
の倉津麻呂という老人が、「燕の子安貝をとるいい方
法があります」といって、邸へやってきました。
中納言は、その老人に直接会い、子安貝をとる方法
を聞きました。
「今やっている方法では、子安貝はとれません。高い
足場に、二十人もの人が登っていては、燕が怖がっ
て巣に帰ってきません。一刻も早く、高い足場を壊し、
そこからみんな離れること。そして、一人だけを荒かご
に乗せて座らせ、すぐ網をつりあげることができるよう
に準備しておくこと。
つづく