火とぼし山

[童話]火とぼし山


第一章  次郎、西の村へ 8


「きよちゃんと次郎ちゃんは、ほんとに仲がいいね。
兄と妹みたい」といわれて大きくなりました。
二人は、花が大好き。
休みになると、霧ケ峰高原へ花をみに行きました。
春は、座禅草を。
初夏には、れんげつつじを。
夏には、日光きすげを。
秋には、松虫草やすすきをみに行きました。
年頃になった二人は、いつしか強く心をひかれるよ
うになっていたのです。

三日後。
次郎は、西の村へ引っ越していきました。
「次郎さん。約束を忘れないでね。七日後、会える
のを楽しみにしているわ」
「おらも、きよちゃんに会えるのを、楽しみにしている」
次郎は、なごりおしそうに西の村へ引っ越していき
ました。


             つづく