赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  8


「犬坊」
「犬坊はどこじゃ」
盛永は、小姓の犬坊をよびました。
「殿様。何かご用でしょうか」
「犬坊、ここへおすわり」
盛永は、自分の横に、犬坊を座らせました。


「犬坊は、いいのぅ。殿様に気にいられて。ほんとうに
幸せな少年じゃ。なにしろ、犬坊は美少年だからのぅ」
家臣たちは、小姓の犬坊をうらやましく思っていました。


犬坊は、十七才。
心のやさしい、利口な少年でした。
どこかの城の若君といった感じのりりしい少年でした。


           つづく