赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  9


犬坊には、両親がいません。
遠縁の農家にひきとられ大きくなりました。
犬坊は、城一番のやりと弓の名人。
三年前、城にやってきました。
城主の盛永に気にいられ、盛永の身のまわりの世話
をしています。


「犬坊」
「犬坊や」
盛永は、犬坊をわが子のようにかわいがっています。
盛永は、どこへ行くにも、犬坊をつれていきました。
「盛永さまは、わが子の長五郎よりも、小姓の犬坊の
方がかわいいのかしら」
お万は、盛永と犬坊の様子をみて、心の中でつぶや
きました。


           つづく