赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  35


一方、奥がたのお万は、幼い長五郎を胸にだき、家
臣とともに城を出ました。
そして、浪合の実家へ向かいました。
お万たちは、下条の兵士たちにみつからないように、
着古した野良着をきて、城を出ました。
誰がみても、奥がたのお万だとは思いません


「再び、この城に戻ってくることができるだろうか」
城を出る時、お万は心の中でそっとつぶやきました。
お万は、夫の盛永や長五郎、犬坊と暮らした日々を、
なつかしく思い出しました。
楽しかったこと、苦しかったこと、辛かったことなどが、
次々に思い出されました。


           つづく