大国主命

[童話]大国主命


    やきもちをやく須勢理比売 3


愛しい妻よ。
たくさんの鳥が飛び立つように、わしが大勢の
おとものものに引かれていったならば、あなた
は泣くまいと強がっていても、ススキのように
うなだれて泣くだろう。
あなたの嘆きは、朝の雨が霧となってたちこめ
るように、嘆きの霧が立ちこめるであろう。
愛しい妻よ。


すると、須勢理比売が大きな杯をとり、大国主
命のそばに寄り、杯を捧げて歌を詠みました。


八千矛神よ、私の大国主命よ。
あなたは男だから、島の岬、港ごとに妻がいる
のでしょうね。
私は女ですから、あなた以外に男はいません。


           つづく