竹取物語

[童話]竹取物語


安倍の右大臣と火鼠の皮衣 9


その後。
皮衣を火にくべると、めらめらと焼けてしまいました。
「焼けてしまったから、これは偽物ですね」
おじいさんが、安倍にいいました。 
安倍は、青ざめた顔で座っています。


「ああ、よかった。これで、安倍さまと結婚しなくても
いい」
かぐや姫が、笑いながらいいました。
そして、安倍が詠んだ歌に返歌をし、箱に入れて返
しました。


  名残なく燃ゆと知りせば皮衣

  思ひのほかにおきて見ましを

 
         つづく