2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

[童話]竹取物語 帝のお召しに応じないかぐや姫 5 「娘は、宮仕えをする気はありません。ですが、もう一 度、帝のお召しを受けるように、娘を説得してみます」 「翁が育てたのに、なぜ思うようにならないのじゃ。か ぐや姫を献上すれば、翁に五位の位をあげ…

竹取物語

[童話]竹取物語 帝のお召しに応じないかぐや姫 4 使者の房子は、内裏へ帰り、かぐや姫のことばを帝 に伝えました。 すると、帝が、 「それが、おおぜいの男の心を乱してきたかぐや姫 のことばなのだろうね」といいました。 その時は、かぐや姫のことをあき…

竹取物語

[童話]竹取物語 帝のお召しに応じないかぐや姫 3 おばあさんは、使者の所へ戻り、「申し訳ありません。 娘は強情者でして、お会いしたくないといっておりま す」と伝えました。 すると、使者が。 「かぐや姫に、かならず会ってこいとの命令ですので、 この…

竹取物語

[童話]竹取物語 帝のお召しに応じないかぐや姫 2 「姫、早く支度をして、使者のかたに会いなさい」 「私は、美しくありません。だから、使者のかたに は会いません」 「困ったことをいうね。姫、帝の使者を、おろそか にするわけにはいきませんよ」 「帝が…

竹取物語

[童話]竹取物語 帝のお召しに応じないかぐや姫 1 帝は、美しいかぐや姫のうわさを聞き、内侍(ないし) 中臣の房子に命令しました。 「おおぜいの男の心を乱し、誰とも結婚しないかぐや 姫は、どんな女性なのか。かぐや姫の家へ行き、じっ くり見てきなさい…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 10 かひはかくありけるものをわびはてて死ぬる命をすくひやはせぬ 中納言は、かぐや姫に返歌を書き終えると、ぐったり してなくなってしまいました。 かぐや姫は、中納言が亡くなったことを知り、気…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 9 中納言は、こどもっぽいことをして、失敗したことを 人に知られたくないと思っています。 それが病のもとになって、中納言はだんだんに衰 弱してしまいました。 子安貝をとれなかったことより、他…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 8 「大丈夫ですか」 「意識は少しあるが、腰が痛くて動けない。でも、わ しは子安貝をとったので、うれしい。とにかくあかり を持ってきてくれ。子安貝をみたい」 中納言が、手を広げてみると、子安…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 7 手に、何か平たい物が触りました。 「とれたぞ。早く下におろしてくれ。じいさん、やっ たぜ」 家来たちは、中納言を早く下へおろそうとして、綱 をぐいっとひきました。 ところが。綱をひきすぎ…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 6 「燕が、卵を産むぞ」 中納言は、家来を荒かごに乗せ、綱で吊りあげま した。 そして、巣の中に手を入れさぐらせたが、「何もあ りません」と家来が。 「おまえの探り方が悪い」 中納言は、腹をた…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 5 そして、ひそかに大炊寮(おおいづかさ)に出掛 け、家来たちの中に交じって、燕が卵を産むのを 監視しました。 中納言は、倉津麻呂が燕の子安貝のとり方を教え てくれたので、着ていた衣装を脱ぎ…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 4 燕が卵を産もうとしている時に、その網をつりあげ、 籠を上にあげて、さっと子安貝をとればいいのです」 「それはいい考えだ」 中納言は、高い足場を壊し、家来たちに邸へ帰って くるように伝えま…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 3 中納言が困っていると聞き、大炊寮(おおいづかさ) の倉津麻呂という老人が、「燕の子安貝をとるいい方 法があります」といって、邸へやってきました。 中納言は、その老人に直接会い、子安貝を…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 2 すると、中納言が。 「そうか、いいことを聞いた」 中納言は、家来を二十人ほど、大炊寮(おおいづか さ)へ行かせました。 そして、高い足場を組み、家来たちに燕の見張りを させました。 「燕の…

竹取物語

[童話]竹取物語 石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 1 中納言石上磨足が、家来たちにいいました。 「燕が巣を作ったら、知らせなさい」 「何の為ですか」 「燕が持っている子安貝をとるためじゃ」 「燕を何羽殺しても、腹の中には子安貝など入って い…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 13 世間の人は、いいました。 「大伴の大納言さまは、龍の頸の玉をとってきたの かい」 「いや、玉などとってこない。それどころか、まなこ に二つの李のような玉をつけて帰ってきたそうだよ」 「ああ、その李…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 12 おまえたちが、龍をつかまえないでいてくれてほっと した。大悪党のかぐや姫は、わしやわしの家来たちを 殺そうとして、こんな難題をだしたのだ。今後は、かぐ や姫の家へは近寄らない。おまえたちも、あの…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 11 「龍の頸の玉をとることができなかったので、屋敷に 帰ることができませんでした。でも、今は、龍の頸の 玉をとることは困難なことだと、大納言さまもわかっ ただろうと思います。なんのおとがめもないだろ…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 10 大納言は起き上がることもできず、船底に寝ていま す。 松原にむしろをしき、大納言に船からおりるようにい いました。 大納言は、やっとのことで起き上がりました。 大納言は、重い風邪にかかった人のよう…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 9 祈りがきいたのか、やっと雷が鳴りやみました。 でも、まだ強い風が吹いています。 「やはり、龍のしわざだったのだ。今吹いている風は、 よい方向に向かって吹いている」 大納言は、船頭のことばも、耳にはい…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 8 「船に乗ったら、船頭だけを信頼するものだ。それ なのに・・・なぜ頼りないことをいうのか」 船酔いのため、大納言は口から物をはきながらい いました。 「わしは、神様ではないので、何もできません。強 い…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 7 その上、雷もごろごろとなりだし、ぴかっと稲光も。 「今まで、こんな苦しい目にあったことは一度もない。 どうなってしまうのか」 すると、船頭が。 「長い間、このあたりを船で通っているが、こんない やな…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 6 その話を聞いた大納言は、 「臆病な船長たちだ。わしの実力を知らないから、 そんなことをいうのだ」と、腹をたてました。 「わしの弓の実力なら、龍がいたら、さっと殺して、 頸の玉をとる。もう家来たちが持…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 5 大納言は、家来たちからの連絡を、首を長くして待 っていました。 でも、いくら待っても、連絡がありません。 しびれをきらした大納言は、家来を二人連れ、難波 の港まで様子をみに出かけました。 そして、二…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 4 「無理なことを、平気で命令するなんて、我慢がで きない」 家来たちは、大納言を口々に非難しました。 大納言がくれた物は、みんなで分けました。 ある者は、自分の家にとじこもってしまったし、ある 者は自…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 3 大納言は、龍の頸の玉をとるために、家来たちを派 遣することにしました。 家来たちには、道中の食料の他に、屋敷にあった絹 や綿や金などを持たせました。 「おまえたちが、龍の頸の玉を持ってくるまで、わし…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 2 「わしに仕えている者は、命を捨てても、命令に従 うべきだ。龍は、外国ではなく、わが国の海や山に 住んでいるというではないか。それなのに、おまえ たちは、わしが命令したことを、なぜ困難なことだと 思う…

竹取物語

[童話]竹取物語 大伴御行大納言と龍の頸の玉 1 大伴御行大納言は、すべての家来を集め、命令しま した。 「龍の頸には、五色の光を発する玉がついているそう だ。龍の頸についている玉をとってこい。玉をとってき た者には、ほうびをあげよう」と。 すると…

竹取物語

[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 10 安倍は、何もいえず家へ帰りました。 人々は、「安倍の大臣が、火鼠の皮衣を持って、か ぐや姫の家に行ったというが、二人は結婚したのか。 大臣は、かぐや姫の家にいるのか」と聞きました。 ある人は、「火鼠…

竹取物語

[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 9 その後。 皮衣を火にくべると、めらめらと焼けてしまいました。 「焼けてしまったから、これは偽物ですね」 おじいさんが、安倍にいいました。 安倍は、青ざめた顔で座っています。 「ああ、よかった。これで、…