2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

大国主命

[童話]大国主命 沼河比売(ぬなかわひめ) 4 ある日。 大国主命は、沼河比売が住んでいる里をこっそり みにいきました。 そして、「沼河比売、沼河比売―」と、大声でさ けんでしまったのです。 そのため、「大国主命は、沼河比売のことが好き らしい」と…

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[童話]大国主命 沼河比売(ぬなかわひめ) 3 その頃の邑知平野は大きな潟で、怪鳥や大蛇が住み 村人たちを困らせていました。 大国主命は、その怪鳥や大蛇を退治し、まわりの地を だんだんに開拓していきました。 そして、人々に農耕の技術を伝えたのです…

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[童話]大国主命 沼河比売(ぬなかわひめ) 2 沼河比売が持っているカワセミの羽のような美しい勾 玉は、そのころの人々のあこがれの宝石だったのです。 その頃。 大国主命は、出雲のまわりの国を平定し、人々が暮ら しやすい国をつくっていきました。 沼…

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[童話]大国主命 沼河比売(ぬなかわひめ) 1 越の国奴奈川に、翡翠色(ひすいいろ)の美しい勾玉 を持っている巫女がいました。 翡翠の女神といわれています。 女神の名は、沼河比売。 日本海に栄えた越王国の海神・神意支都久辰為命(お きつくしいのみ…

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[童話]大国主命 少名毘古那(すくなびこな) 4 「わしをちゃんとまつってくれたら、協力して立派な国 を作ってあげよう」 「どのようにまつればいいでしょうか」 「わしを、倭(やまと)の東の青々した山の上にまつり なさい」 神様は、そういいました。 …

大国主命

[童話]大国主命 少名毘古那(すくなびこな) 3 「あの小さな神様は、あなたのこどもでしょうか」 「そう、わしのこどもじゃ。あまりに小さいので、指の 間からこぼれ落ちてしまったのだ。少名毘古那と力を合 わせ、二人でりっぱな国を作りなさい」 神産巣…

大国主命

[童話]大国主命 少名毘古那(すくなびこな) 2 「あの小さな神様は、誰じゃ」 大国主命は、近くにいたひき蛙に聞きました。 すると、「クエビコが知っているでしょう」と。 クエビコとは、たんぼの中に立っているかかし。 たいそうなものしりでした。 「…

大国主命

[童話]大国主命 少名毘古那(すくなびこな)1 ある日。 大国主命が、出雲の御大の岬に立っていると、はるか むこうに小さな舟がみえました。 舟は、どんどんこちらへ近づいてきます。 舟にのっているのは、小さな神様とおともたち。 ガガイモの細長い実を…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 16 そんなある日。 稲羽(いなば)の八上比売が、大国主命を訪ねてきま した。 八上比売は、何か月かして、大国主命のこどもを生み ました。 しかし、すでに須勢理比売という正妻がいたので、八 上比売はそのこどもを木の…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 15 「おーい、小僧っ。わしのだいじな太刀と弓矢を使って、 そちの兄弟の八十神たちをたおせ。そして、国の神の 頭になり、宇迦山に立派な宮殿を建てろ。わしのだいじ な娘は、おまえにくれてやるぞ。わかったか、小僧っ…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 14 「おのれ、小僧めっ」 命はひどく怒り、髪の毛を一束ずつといていきます。 その間に、大国主命は、須勢理比売を背負って、どんど ん逃げました。 しばらくすると、命が黄泉比良坂(よもつひらさか)まで追 いかけてき…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 13 大国主命は、命が大切にしている太刀と弓矢・玉のつい た天の詔琴(のりこと)をかかえ、須勢理比売を背負って、 やしきを逃げだしました。 太刀と弓矢は、蘇生の特殊能力をもっている神の武具。 天の詔琴は権威ある命…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 12 それをみた命は、 「ほほう、むかでを一匹ずつかみつぶしているのだな。 かわいいやつじゃ」と思いました。 命はすっかり安心して、大きないびきをかき寝てしま いました。 大国主命は、ぐずぐずしていると、この先ど…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 11 「おーい、頭のしらみをとってくれ」 大国主命が、命の長い髪をかきわけると、しらみで はなくたくさんのむかでがたかっています。 困ったなと思っていると、須勢理比売がそばへ来て、 椋の実と赤土をわたしてくれまし…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 10 命も、「今度こそ死んだだろう」と思い、須勢理比売 の後をついていきました。 すると。 大国主命が元気な姿で、焼けあとの中から出てきま した。 そして、矢を渡しました。 命は、大国主命が無事だったことを知り驚き…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 9 穴の中へ入り、身をかがめ隠れていると、近くまで 燃えてきた火が穴の上を通り、向こうへ遠のいてい きました。 大国主命がほっとしていると、さっきのねずみが口 に矢をくわえ持ってきました。 羽の部分は、子ねずみた…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 8 命は、大国主命を焼き殺そうと、野原のまわりへ火をつ けました。 四方から火があがり、あっという間に、大国主命は逃げ 場を失ってしまいました。 大国主命がとほうにくれていると、ねずみが一匹とびだ してきました。 …

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[童話]大国主命 大国主命の試練 7 命は、草がぼうぼう茂っている広い野原へ、大国主命を つれていきました。 命はかぶら矢をかまえると、「えいっ」と矢を射ました。 その矢は、矢の先にかぶら状のふくらみがあり、中が空 洞になっています。 矢を射ると…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 6 その日の夜。 命は、むかでと蜂がいっぱい入っている室へ、大国主命 をつれていきました。 「今夜は、ここで寝るがいい」 それを聞いた須勢理比売は、命にみつからないように別 の首飾りのひれを、そっと大国主命に渡し…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 5 蛇が嫌いな大国主命は、気絶しそうでした。 夢中で、ひれを三度ふりました。 すると、蛇たちは急におとなしくなり、部屋のすみへひ きさがっていきました。 その後。 蛇たちは、二度と大国主命にむかってくることはあり…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 4 「今夜は、ここで寝るがいい」 「えっ、ここで・・・」 「そうじゃ」 命は、はきすてるようにいうと、さっさと室をでていってし まいました。 心のやさしい須勢理比売は、大国主命を気の毒に思 い比札といって肩かけのよ…

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[童話]大国主命 大国主命の試練 3 「娘は、この青年が気にいったのだな」 しかし、命は、大国主命をみているうちに、だんだん腹 がたってきました。 「気にいらん」 命は、小声でつぶやきました。 「こんな男に、だいじな娘をとられてたまるか」 そう思っ…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 2 「お父さま。玄関に、美しい青年が訪ねてきています」 「何、美しい青年だと」 命は玄関へ行き、大国主命をじろりと観察しました。 玄関に立っていたのは、清らかな瞳をした好青年で した。 「大国主命でございます」 「…

大国主命

[童話]大国主命 大国主命の試練 1 大国主命は、木国の大屋毘古神(おおやびこのかみ)を 訪ね、地底の国・根之堅州国(ねのかたすくに)へ行く道 を教えてもらいました。 やっと根之堅州国へ着きました。 「須佐之男命さまのお宅でしょうか」 「はい、そ…

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[童話]大国主命 赤い猪 6 急いで切れ目を切り開き、大国主命をひきずり出すと、一 生けんめい看病しました。 おかあさんの祈りが通じたのか、大国主命は再び生き返 りました。 「これ以上、おまえをここにおいておくわけにはいかない。 すぐに、須佐之男…

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[童話]大国主命 赤い猪 5 ある日。 八十神たちは、大国主命をだまし、今度は別の山へつれて いきました。 八十神たちは大きな木を縦にさくと、切れ目にくさびを打ち こみました。 そして、いやがる大国主命を切れ目に押しこみ、はさみ殺 してしまったので…

大国主命

[童話]大国主命 赤い猪 4 赤貝は自分の殻をけずり、それを焼いて黒い粉をつくりま した。 蛤は体液を出し、その黒い粉をこねました。 薬ができると、二人は「大国主命が生き返りますように」と 祈りながら、大国主命の体に薬をぬりました。 すると・・・…

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[童話]大国主命 赤い猪 3 そのことを知った大国主命のおかあさんは、嘆き悲しみま した。 泣きながら大空へかけのぼっていき、高天原にいる神産 巣日神(かむむすひのかみ)にお願いしました。 「どうか私の息子を助けてください」と。 神産巣日神は、蚶…

大国主命

[童話]大国主命 赤い猪 2 しばらくすると、石が真っ赤に焼けました。 「それー、猪だ。つかまえろー」 八十神たちは、真っ赤に焼けた石を、山の上から落としま した。 石は、ごろんごろんところがっていきます。 下で待っていた大国主命は、猪だと思い真…

大国主命

[童話]大国主命 赤い猪 1 八十神たちは、大国主命を殺そうと、伯岐(ほうき)の国 手間の山へつれていきました。 「この山には、赤い猪がいる」 「赤い猪?」 「そうだ、赤い猪だ。わしらが山の上から猪を追い落とす から、おまえは下にいて、猪をつかま…