2019-01-01から1ヶ月間の記事一覧

みほようこ小さな童話館

[童話]みほようこ小さな童話館 三月末に、「ヤフーのホームページ」が終了 になります。「みほようこ小さな童話館」の移転が、無事 終了しました。 みほようこ小さな童話館https://mihoyouko.web.fc2.com/index.html これからも、「みほようこ小さな童話館」…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 14 「雪んこってかわいいね」 「楽しいおどりだね。私もおどりたいわ」 会場から人間たちの声が聞こえてきました。 大きな拍手の中、雪んこたちはいつまでも いつまでもおどり続けました。 「るみ、よくがんばったね。るみの舞が一 番す…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 13 やっと長野につきました。 会場には何万人もの人間たちが集まって いました。 「次は空の国の雪んこの舞です。遠い空 の国から、おおぜいの雪んこたちがこの 町へきてくださいました。みなさま、ど うぞゆっくり雪んこたちの舞をごら…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 12 雪んこたちは何回かのリハーサルで、舞が みちがえるほどうまくなりました。 もうすとーんと落ちてしまう雪んこは、一 人もいません。 るみもひっしでけいこしたので、なんとか 人並みにおどれるようになりました。 るみは仲良しの友…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 11 十ニ月に雪がふるのは、三十年ぶりのこと です。 それも大雪でした。 一月にはいると、毎日毎日雪がふりました。 野も山も雪で真っ白になりました。 一週間でニメートル近い雪がふったのです。 電車もバスも車も動きません。 「雪よ、…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 10 るみも最初は上手にまっていたのですが、途 中からすとーんと落ちてしまいました。 その様子をみていた空の神様は、ほとほとこ まってしまいました。 早速雨と風をよび、どうしたらいいかと相談 しました。 その結果、何度も下界にお…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 9 もうるみはひとりぼっちではありません。 十ニ月八日。 代表の雪んこたちが、下界へおりるリハー サルの日です。 「無事におりていけるかしら」 るみは不安でした。 「あんなに一生けんめい練習したのだもの、 きっとうまく…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 8 るみはひとりぼっちでした。 るみは基本の舞こそできましたが、開会式 で舞うのはむずかしい舞でした。 舞の先生が何度もるみに教えてくれるので すが、目のみえないるみにはどうやってお どったらいいのか少しもわかりませ…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 7 「目のみえないるみちゃんに、むずかしい 雪の舞なんておどれるはずがないわ」 「なんでるみちゃんが代表になるの。私の ほうがずっと上手なのに…」 代表に選ばれなかった雪んこたちは、るみ にやきもちをやきました。 「る…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 6 空の神さまはさっそく雨や風と相談して、 長野の町へ雪んこをおおぜいつれていく ことにしました。 空の国では、各地区から雪の舞をする百 五十人の代表が選ばれました。 代表の雪んこたちは、舞の先生のもとで きびしいけい…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 5 がんばりやのるみは、ころんでもころんでも 自分でおきあがり、一生けんめい舞のけいこ をしました。 そしてるみは一ヶ月で基本の舞ができるよう になったのです。 秋が終わるころ、空の神さまのもとに、人間 の国から手紙が…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 4 おかあさんにとって、目のみえないるみに雪 の舞を教えることは、想像していた以上に大 変な仕事でした。 でも舞ができないと、るみはこれから一人で 生きていけません。 だからるみもおかあさんもひっしでした。 るみとおか…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 3 おかあさんはるみの前で、何度も何度も おどってみせました。 しかし目のみえないるみには、どうやっ ておどったらいいのか見当もつきません。 「るみ、右の手を高くあげ、それから左 の足をあげるのよ」 おかあさんはるみの…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 2 その中に目がみえない雪んこがひとりいま した。 名前はるみ。 るみは目がみえないけれど、とても明るい こどもです。 おとうさんとおかあさんと三人で暮らして います。 るみたち雪んこが、最初におぼえなくては ならないこ…

雪んこの舞

[童話]雪んこの舞 雪んこの舞 1 暑い夏が終わり、さわやかな秋がやって きました。 遠い空の国では、たくさんの雪のこども・ 雪んこが生まれました。 例年の十倍も多い雪んこです。 生まれたばかりの雪んこは、まんまるで 透明です。 大きくなるにつれ、雪…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 14 明神さまは少女とわかれた後、風になって 諏訪湖のまわりの村をみまわりしているこ とでしょう。 今までに「ぴゅー」というさわやかな風の 音をきいた人はおおぜいいますが、明神さ まの化身であ…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 13 「ぴゅー」というここちよい風で、少女は はっとわれにかえりました。 松虫草の花が風でかすかにゆれています。 何千匹といた赤いくじゃくちょうは、どこ へいってしまったのでしょうか。 あちこ…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 12 「おまえの兄を思う気持は、よくわかった。 何年か後には、おまえの兄はきっとよくな るだろう。いつまでも優しい心を忘れずに 生きていくのじゃよ。今日ここでわしに会 ったことは、決してだれに…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 11 心の優しい少女がこの高原にきた時、赤い ちょうはどこからかでてくるのじゃ。今ま でくじゃくちょうの舞をみたものは一人も いないぞ。おまえだけじゃ。わしもあそこ でみていたが、うっとりする…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 10 穴の中に入ってみると、中には広い部屋が ありました。 大きなニ本のろうそくにてらされてみえた もの、それはりりしい少年の姿でした。 少年は黒い冠をかぶり、真っ白い着物の上 にこい緑色の上…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 9 小鹿は「こっちへおいで。こっちですよ」と いうように、つぶらなひとみで少女をみつめ、 どこかへさそっているようなしぐさをしました。 少女は何かにさそわれるように、小鹿の後を ついていきまし…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 8 「あの山のむこうにはなー、広い高原があるの だよ。そしてその高原には、昔から大勢の女神 さまたちが住んでおられるそうだよ。秋になる とな、女神さまたちが赤いきれいなちょうにな って、広い高…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 7 ちょうの数は何百匹、いや何千匹でしょうか。 初めてみる美しいちょうの舞でした。 誰がふいているのでしょうか。 どこからか笛の音が聞こえてきました。 ちょうたちは、その笛の音にあわせて、ひら…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 6 松虫草の花の上で、赤いちょうが羽を大きく ひろげた時、少女は余りの美しさに「あっ」 と声をあげました。 ちょうの羽には、大きな目玉のようにみえる もようがついていたのです。 なんとも不思議…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 5 夏の間美しく咲いていた高原の花々は、すっか りかれていました。 そして広い高原はすすきでおおわれていました。 少女が高原の頂上めざして登っていくと、枯草 の中にニ十本位松虫草の花がさいてい…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 4 少女が明神さまの声を聞いてから、三年の月日 がたちました。 からりと晴れた秋のある日。 少女は遠くの高原へ、松虫草の花をとりにでか けました。 兄は薄紫色の松虫草が大好きでした。 少女はなん…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 3 その声はいつかどこかで聞いたことがあるような、 なつかしい声でした。 少女は少年の姿になっているという明神さまに直 接あい、病気の兄のことをお願いしたいと思いま した。 その後、少女はいろ…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 2 少女が明神さまへ千回目のお参りにいった日。 ひとっこ一人いない静かな境内を、ぴゅーと 心地よい風が通りすぎていきました。 「なんて気持のよい風だこと」 少女がそうつぶやいた時、社の方からお…

明神さまの姿をみた少女

[童話]明神さまの姿をみた少女 明神さまの姿をみた少女 1 明神さまは狩猟の神さま・農耕の神さま・風 の神さまともいわれ、大昔からずっと諏訪の 地をおさめてこられた、偉大な神様でござい ます。 その明神さまへ、雨の日も風の日も雪の日も、 一日も休ま…

風の神様からのおくりもの

[童話]風の神様からのおくりもの 風の神様からのおくりもの 30 「まゆのことを毎日守っていただき、 本当にありがとうございました」 おかあさんは、風の神様にむかって、 心からお礼をいいました。 「おかあさーん、ありがとう」 まゆのやさしい声が聞こ…