2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

[童話]竹取物語 五人の求婚者への難題 1 日が暮れる頃、いつもの五人がやってきました。 ある者は笛を吹き、ある者は大きな声で歌を歌い、 ある者は楽譜の旋律を口ずさんでいます。 また、ある者は口笛を吹き、ある者は扇をたたき拍 子をとり、外でさわいで…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 8 「あの五人は、どれほど深い愛情を、私に持っている のでしょう。五人の愛情は、同じ程度だと思います。 このままでは、どの人がいいのかわかりません。私が 見たいと思う品を、見せてくれる人と結婚します。五 人に、そ…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 7 「姫は、女だから。じいが生きている間は、生活にも 困らないから、一人でいられるだろう。でも、じいが 死んでしまったら、生活に困る。今も、五人が、姫に 会いたいといって毎日きている。姫、その中の一人 と、結婚し…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 6 すると、姫が。 「じいや。何をいうのですか。じいのいうことは、何で も聞いているではありませんか。私は、じいのことを、 ほんとうの親だと思っていますよ」 「姫。うれしいことをいってくれるね。じいは、今年七 十…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 5 月日がどんどんすぎていきます。 五人は、家に帰っても、物思いにふけり、かぐや姫 への思いを絶ち切ることができません。 五人は、「そうはいっても、最後にはかぐや姫に会 えるだろう」と、期待していたのです。 そし…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 4 そこで、五人は、かぐや姫に手紙を書きました。 でも、返事はきません。 恋する歌を詠み、かぐや姫に届けましたが、何の返 事もありません。 十二月になり雪が降っても、真夏の暑い日にも、雷 が鳴り響く時にも、五人は…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 3 五人の男とは、石作の皇子・くらもちの皇子・右大臣 安倍御主人(あべみぬし)・大納言大伴御幸・中納言石 上(いそのかみ)磨足でした。 普通の人でも、「あそこの娘は、器量よしだ」と聞けば、 その娘をひとめみたいと…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 2 召使いたちに、「せめて伝言を」とお願いするので すが、誰も相手にしてくれません。 かぐや姫の家の前から離れようとしない男たちは、 昼も夜も一日中、かぐや姫の家のまわりで過ごしま した。 しばらくすると、多くの…

竹取物語

[童話]竹取物語 貴公子たちの求婚 1 美しいかぐや姫の評判を聞き、朝廷に仕えている男 たちは、身分の高い人も低い人も、なんとかして、か ぐや姫をひとめみたいものだと思いました。 見たこともないかぐや姫を恋い慕い、おおぜいの男 たちが心を乱していた…

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 5 女の子は、この世の人とは思えないほどの美しさで した。 女の子の部屋も、満月に照らされたかのように光輝 いています。 おじいさんは、苦しいことがあっても、腹立たしいこ とがあっても、女の子の顔をみるとほっとし、いやな …

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 4 その後も、おじいさんが竹をとりに行くと、「ぴかっ、 ぴかっ」と光っている竹の中に、何枚も黄金が入っ ていました。 おじいさんは、だんだんにお金持ちになりました。 三ヶ月後。 手の平にのるほど小さかった女の子は、普通の…

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 3 女の子は、おじいさんの家で暮らすことになりました。 あまりに小さいので、籠の中に入れて大切に育てま した。 一ヶ月後。 おじいさんが竹をとりに行くと、「ぴかっ、ぴかっ」と 光っている竹がありました。 「竹の中に、また女…

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 2 「ばあさん、ばあさん」 「何ですか、おじいさん。大きな声を出して」 「ばあさん。かわいい女の子をつれてきたよ」 「えっ、どこに?」 「ここだよ」 おじいさんは、手のひらに、女の子をのせてみせま した。 「小さなかわいい…

竹取物語

[童話]竹取物語 竹取物語 1 昔、むかし、大昔。 ある所に、竹取りのおじいさんがいました。 名は、讃岐の造。 おじいさんは、竹をとり、籠などを作って暮らしてい ます。 ある日。 おじいさんが竹をとりに行くと、「ぴかっ」と光ってい る竹がありました。 …

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 古事記神話「古事記物語」を読んでいただきあり がとうございました。この物語は、「古事記の神話篇」を参考にして書い たもの。 最初から読んでみたいと思うかたは、 古事記神話「古事記物語」https://dowakan.hatenablog.c…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売の出産 5 豊玉比売の歌をうけとった山彦は、こんな歌を返し ました。 奥つ島鴨著(ど)く島に我が率寝し 妹は忘れじ世のことごとに 後に、玉依比売と鵜葺草葺不合命は、結婚しました。 そして、四人のこどもが生ま…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売の出産 4 生まれたこどもは、鵜葺草葺不合命(うかやふきあ えずのみこと)と名づけられました。 豊玉比売は、置いてきたこどものことが心配で、妹 の玉依比売にこどものおもりをしてくれるよう頼みま した。 豊玉…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売の出産 3 すると・・・。 豊玉比売は、大きな鰐になっていました。 腹ばいになり、くねくねと身をくねらせています。 その様子をみた山彦は、「あっ」と大声をあげ逃げ 去りました。 豊玉比売は、山彦がのぞき見した…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売の出産 2 ところが・・・。 鵜の羽で屋根をふきおえないうちに、豊玉比売はお 腹の痛みに耐えられなくなり、未完成の産屋へ入り ました。 「海の国では、こどもを生む時、変わった姿でこども を生みます。私も楽な…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売の出産 1 しばらくして、豊玉比売が、山彦の所へやってきま した。 「私のお腹には、山彦さまのこどもがおります。天 の神の御子を、海原で生むわけにはいきません。 だから、ここへやってきました」 「そうか、赤…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 塩満珠と塩乾珠 3 山彦は、海彦が攻めてくるたびに、塩満珠を使い 海彦を困らせたのです。 「山彦。これまでのことを許してほしい。わしが悪 かった。これからは、全力でおまえを守っていく。 おまえの家来にしてほしい」 …

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 塩満珠と塩乾珠 2 「山彦、何をぶつぶついっているのだ」 「何も」 その後。 海彦は、田に水がこないので、米がとれなくなりだ んだんに貧しくなっていきました。 そして、山彦をねたみ、攻めてくるようになりました。 山彦…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 塩満珠と塩乾珠 1 「兄さん。ただいま」 「山彦、どこへ行っていたのだ」 「兄さんのつり針を探していました。やっとつり針が みつかりました」 「ほんとうか」 「はい」 「兄さん。つり針を返すので、後を向いてください」…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 10 「わしは、一日で山彦さまを送り、ここへ帰ってき ます」 一尋鰐がいいました。 「じゃあ、おまえが、山彦を送ってあげなさい。海 原の真ん中を渡る時には、恐ろしい思いをさせな いように気をつけて送ってあ…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 9 そのことを恨んで兄が攻めてきたら、この塩満珠を とりだし、兄をおぼれさせなさい。もし兄が助けてく れといったら、塩乾珠をとりだし助けてあげなさい。 このようにして、兄を困らせ苦しめなさい」 海の神は、…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 8 海の神が鯛の喉を調べると、大きなつり針がささっ ていました。 すぐにつり針を取り出し、きれいに洗い清めました。 「山彦よ。探している針は、これかな」 「はい。その針です」 「このつり針を、兄に返す時、…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 7 「私は、なくしてしまった兄のつり針を探しに、ここへ やってきました」 山彦は、兄と道具の取り換えをして、つり針をなくし てしまったことを、海の神に話しました。 海の神は、すべての魚を集め、魚たちに聞き…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 6 「兄のつり針の件で、豊玉比売に相談しようとここ へ来たのに、そのことをすっかり忘れてしまってい た」と。 山彦のため息を聞いた豊玉比売は、どうしたのだ ろうと心配しました。 豊玉比売は、父に相談しまし…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 5 「どうぞ、ここへお座りください」 海の神は、その敷物の上に、山彦を座らせました。 そして、いろいろな海の幸を並べ、山彦に御馳走し ました。 「山彦さま。娘の豊玉比売をもらっていただけない だろうか」 海…

古事記神話「古事記物語」

[童話]古事記神話「古事記物語」 豊玉比売 4 豊玉比売は、父の海の神に知らせました。 「父上、宮殿の入口に、すてきな青年がきております」 「どなたかな」 海の神は、外に出て確かめました。 「あのかたは、瓊瓊杵尊さまの御子・山彦さまじゃ」 「瓊瓊杵…