2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 20 「きよ。清太の元気な姿を見ることができて、よ かったね。さみしくなったら、いつでもこの湖へ きなさい」 女神さまのやさしい声が聞こえてきました。 「女神さま。清太さんの元気な姿を見せ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 19 「ぱか、ぱかっ、ぱか」 どこからか、ひずめの音が聞こえてきました。 「ひひーん、ひひーん」 「おや? あの声は、白駒の声」 すると・・・。 湖面に、白駒の背にのった清太の姿があらわれ …

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 18 「白駒。清太さんの姿がみえる場所は、どこなの」 「ここですよ。ここに座って、心を静めてください。 湖をじっとながめていると、湖面に清太さんの姿が 見えますよ」 白駒が教えてくれました…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 17 「きよさん。もうすぐですよ」 しばらく走ると、コメツガ・シラビソの森がありました。 大きな木の根元には、黄緑色のこけがはえています。 コメツガなどの原生林をぬけると、目の前に湖があ …

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 16 「女神さま。どうか清太さんに会わせてください。 お願いします。」 きよは、何度も女神さまにお願いしました。 「さっきもいったように、清太に会わせることはで きません。でも、ひとめだけ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 15 「なぜですか」 「あなたには、この世でしなくてはならないこと がたくさん残っています。まだ使命が終わって いません。すべての使命を終えるまで、私たち の国へ戻ってくることはできません…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 14 「はい。でも、その木の実は、人間の目には見 えません。清太の心は、神様のように澄みきっ ていました。だから、何かの拍子に、赤い木の 実が見えたのでしょう。清太に聞いたら、穴に 落ちた…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 13 清太の場合は、すでに使命が終わっていました。 だから、神様の許しをもらい、私がこちらの国へ つれてきたのです。 清太には、もう少しこちらにいてほしかったので すが、食べてはいけない木…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 12 自殺は、自分さえ楽になればという我よしのお もいなのです。自殺した後の恐怖は、ジェット コースターに乗っている時の数千倍なのです。 自殺がこんなにもこわいものだと知っていたら、 自殺…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 11 「じゃあ、清太さんは、湖でなくなったのですか」 「いいえ。私が、清太を助けました」 「女神さまが?」 「はい。清太の肩を後からぐっとつかみ、湖の中 へ入っていくのをとめました。自殺を…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 10 「私と清太さんは、どんな間柄だったのでしょうか」 「二人は、とても仲のいい夫婦でした。あんな夫婦 になりたいねと神様たちもいっていたほど、仲がよ かったですよ。だから、初めて会った…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 9 とくに、朝日長者の夫婦は、清太をわが子のよう にかわいがっていました。 清太のように、おおぜいの人にかわいがってもら えた人は珍しいですね。私も、そんな清太が大好 きでした」 「なくなっ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 8 「はい。きのこをとりにきたおとうさんに、白駒を 拾ってもらおうと、湖のほとりにおきました。おと うさんは気づかないようでしたが、私は木の影か らおとうさんの様子をみていたのですよ」 女…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 7 「私は、なくなった母が大好きでした。祈りの大切 さを教えてくれたのは、母です。朝は、『一族の人 たちが、やしきで働いている人たちが、一日無事 に暮らせますように』と祈り、夜には『今日…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 6 「きよ。あなたも、私の国から、そちらへ行ったの ですよ」 「私が・・・ですか」 「そうです。あなたの両親は、長い間こどもが授か りませんでした。二人は、元気なこどもをお授けく ださいと…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 5 きよがちょうにみとれていると、どこからかやさしい 声が聞こえてきました。 「私は、八ヶ岳に住んでいる女神です。きよ、白駒 を大切に育ててくれてありがとう。白駒は、私のお つかいをしてい…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 4 「清太さん、おぼえている? 秋になると、ここへ 松虫草の花を見にきたね。清太さん、今どこにい るの。なぜ、姿を消してしまったの。清太さんがい なくなって私さみしかった。私にとって、清太…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 3 そして、白駒の背にとびのりました。 「白駒、どこへ行くの」 「まず、霧ケ峰高原へ行きましょう。今、高原では、 松虫草の花がきれいに咲いています。松虫草の 花をみて、きよさんに元気になっ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 2 清太を追い出したから、ばちがあたったのだろうか。 吉衛門は、自分が大切にしているものを、すべて なくしてしまったような気がしがっかりしました。 「白駒。おまえだけでも、早く戻ってきて…

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[童話]女神さまからのおくりもの 女神さまからのおくりもの 1 「庄屋さま。た、大変です」 白駒の世話をしている人が、吉衛門の部屋へ とびこんできました。 「そうぞうしい。何ごとじゃ」 「白駒がいません」 「何? 白駒がいないと。いつからいないのだ」…

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[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 18 そういうと、きよは自分の部屋へとじこもってしま いました。 きよは、その後部屋から出てきませんでした。 届ける食事にも、手をつけていないようでした。 そんなきよの姿をみて、吉衛門は自分がし…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 17 「いや・・・清太は、なにもしない。ただ・・・清太が ・・・きよを・・・大好きだといったからだ。結婚する ことができない若い二人が、同じ屋根の下で暮ら すわけにはいかないからね」 きよは、そ…

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[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 16 「でも、白駒は、馬小屋にいるわ。おつかいの 時、いつも白駒に乗って行くのに、なぜ? そ れに、ほかの馬も、全部馬小屋にいるし。清太 さんは歩いていったの」 きよは、なんか変だと思いました。 …

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[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 15 「あっ、この声、前に聞いたことがある。そうだ。 この声は、白駒がどこかへ出かけた時に聞い た声とそっくりだ」 「清太、こっちですよー」 清太は、声のする方に向かって、どんどん歩 いて行きま…

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[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 14 木の実を一つとると、清太は口にほうりこみま した。 「うまいっ」 一歩も歩けないほど疲れていたのに、木の実 を一つ食べたとたん、すぅーと疲れがとれました。 そして、なぜかおなかもいっぱいに…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 13 「ばたっ」 気がつくと、清太は穴に落ちていました。 片足が穴にはまっています。 耳をすますと、足音はもう聞こえません。 「ああ、こわかった」 清太は、大きなため息をつきました。 穴から足をぬ…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 12 「誰だろう」 後をみたが、誰もいません。 清太は、こわくなり湖からでました。 湖は、しーんと静まりかえっています。 湖のまわりには、誰もいません。 しばらくすると、 「たったった」 「たった…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 11 でも・・・おらは、きよちゃんのことを忘れることが できない。 いろいろな思いが、頭の中をよぎりました。 ふと、向こう岸をみると、きよにそっくりな女の人 が立っています。 「きよちゃんだ。き…

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[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 10 「おじょうさまのことなど、なんとも思っていません」 と、庄屋にいえば良かった。 そうすれば、きよちゃんのそばで、一生暮らすこと ができたのに。 おれって、なんて馬鹿なんだろう。 湖のまわり…

女神さまからのおくりもの

[童話]女神さまからのおくりもの 清太、山の中の湖へ 9 庄屋の家で暮らした八年間が、昨日のことのように なつかしく思い出されました。 初めてきよに会った日のこと。 座禅草をみに行った日のこと。 霧ケ峰高原へ、ゆうすげをみにいった日のことなど。 いろ…