2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 3 おとうさんは、少女にいろいろな星を教えてくれます。 少女は、おとうさんから星の話を聞くのが、大好きで した。 夏休みのある日。 少女は、おとうさんと霧が峰高原へ行きました。 その帰り、諏訪湖のほとりで、一人の少年…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 2 最後オリオンは、アポロンの妹に殺されてしまったの だよ。そして星になったのだよ」 おとうさんはオリオン座の話をしてくれました。 「ほら、あそこに明るく輝いている星があるだろ。あれ が金星だよ。金星はね、よいの明星…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 1 星の好きな少女がいました。 少女はアルプスの山々が美しく見える村に、おとうさ んと二人で暮しています。 夜になると、少女はおとうさんと一緒に、星をみます。 少女はオリオン座が大好きでした。 おとうさんが最初に教え…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 10 おじいさんには、げらたちの鳴き声が、こんなふう に聞こえました。 雪はまだ降り続いています。 おじいさんの家が、庭が、雪で真っ白になりました。 桜の木も、花も真っ白です。 あたりがしーんと静かに…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 9 すると・・・。 庭から、げらたちの声が聞こえてきました。 げらとげらのガールフレンドが、こうごに鳴いています。 「みてごらん。桜が満開だよ」 「私、冬の桜って、初めてみたわ。雪がちらちら降る時 咲…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 8 「げらたちにも、満開の桜を見せてあげたいものだ」 おじいさんは、満開の桜をみながらつぶやきました。 しかし、げらたちは、あれっきり姿を見せません。 桜が満開になった次の日。 窓をあけたおじいさんは…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 7 げらのほかに、もう一羽います。 どうもげらのガールフレンドのようです。 げらはおじいさんにガールフレンドを見せにきたので しょうか。 げらたちは、庭の木々をとびまわって、三十分ぐらい 遊んでいきま…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 6 北風がぴゅーぴゅーと吹く、寒い季節になりました。 かたくて小さかった桜のつぼみが、少しずつふくらん できました。 しかし、げらは姿を見せません。 桜のつぼみは、日ごとにふっくらしてきました。 数日…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 5 「げらはきているかな?」 おじいさんは、毎日楽しみにして庭を見ます。 げらが姿を見せると、おじいさんは安心しました。 げらは、毎日庭へやってきました。 げらはまゆみの実を食べたり、桜の木にいる小さ…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 4 その鳥は、くちばしで木の皮をつつきながら、「ギーィ、 キキキ」と鳴いています。 「あっ、こげらだ。かわいい鳥だな」 おじいさんは、白と黒のチェックのコートをきたこげら が、いっぺんで好きになりまし…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 3 おじいさんは、初雪が降る頃に咲く、この桜が大好 きでした。 おじいさんだけでなく、村の人たちも、桜の花が咲 くのを楽しみにしています。 まゆみの実が、桃色になりました。 「ギーィギィーギーィ」 ボー…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 2 「今日はどんな小鳥がやってくるかな」おじいさんは、小鳥がやってくるのを、楽しみにして待 っています。 庭へやってくる小鳥たちは、おじいさんの大切な友達 でした。 おじいさんの庭には、小鳥たちのため…

げら、桜が咲いたよ

[童話]げら、桜が咲いたよ げら、桜が咲いたよ 1 「ピーヒョロロ、ピーヒョロロ」 大空を、とびがゆっくり飛んでいます。 ここは、南アルプスの山々が目の前にみえる山深 い村。 村のはずれに、小鳥の好きなおじいさんが、一人 で暮しています。おじいさん…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 7 次の日の夜、じいじはばあば一人に見守られて、遠 い国へ旅立ちました。 そうしきの日にも、「みーん、ミーン、ミーン」と、せみ がにぎやかに鳴いていました。 あれからニ十年。 じいじからせみをとってもらったぼうや…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 6 ばあばが急いで病院へかけつけると、真っ青な顔 でベッドに横になっていました。 「ぼうやにこのせみをわたしておくれ」 そういって、じいじは紙袋に入ったせみをわたしま した。 こんな体になっても、まだぼうやと約束…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 5 「ぼうやにせみをとってあげなくては…」 じいじは思いついたように、急に立ちあがりました。 「もう少し休んでいけば良いのに」 ばあばはとめましたが、じいじは急いで家に帰って行 きました。 しかし、それがじいじの元…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 4 その日も太陽がじりじりとてりつけ、朝からむし暑い 日でした。 ぼうやは大きなすんだ目をしていました。 「元気で丈夫な、心のやさしい子に育ってほしい」 じいじは心からそう思いました。 ばあばは「元気な男の子が生…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 3 「ピカッピカッ、ごろごろ」 かみなりもなりました。 びっくりするほどたくさんの雨が降りましたが、ひあが った地面は雨を全部すっとすいとってしまいました。 その雨で、庭の木や花がいきかえりました。 強い雨が降っ…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 2 長い間雨が降らないので、木も花もぐったりして、元 気がありません。 元気が良いのは、せみだけです。 「六年も土の中にいたのだもの、せみだって元気に 鳴きたいだろう。そうだ、まごが生まれたら、元気なせ みの声を…

じいじとせみ

[童話]じいじとせみ じいじとせみ 1 暑い夏の昼さがり。 「ぱさっ」 庭の松の木に、何かとまりました。 「みーん、ミーン、ミーン」 とつぜん、せみが鳴き始めました。 「せみか…」 じいじは庭におりて、松の木をみあげました。 小さなせみが、体中で鳴いて…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 8 姫さまは、かなの首に首かざりをつけてくれました。 姫さまが動くたびに、桜の花のいい香りがします。「このはなさくや姫さま、すてきな首かざりをありがと うございました」 かながお礼をいった時、姫さま…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 7 「私は、富士山に住んでいるこのはなさくや姫です。 あなたに会えるのを楽しみにしていました。あなた は、富士山が好きなのですね。それに、なんて心の やさしいしい少女なのでしょう。 今日は、大切にして…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 6 湖面をみると、富士山と黄金色の太陽が、さかさに 映っています。 その時、うす青色の富士山が、「ぱっ」とあざやかな 桃色に変わりました。 そして、桜の花の香りが、ぷーんとしてきました。 すると・・・…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 5 突然、目の前に、富士山があらわれました。 二人が「あっ」と声をあげた時、富士山の真上で、「ぴ かっ」と光りました。 みている間に、一すじ・二すじ・三すじ・・・と、黄金色 の光のすじが増えていきます…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 4 八月二十日朝。 二人は、うす暗いうちにおきて、たぬき湖へむかいま した。 昨日はからっと晴れていたのに、今にも雨が降りそう な天気でした。 二人がたぬき湖へついた時、富士山は厚い黒い雲に おおわれ、…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 3 「かな、知っているかい。富士山の真上から、太陽が のぼる日が、年に二度あるそうだ。その太陽をみた人 は、一生幸せに暮らせるそうだ。でも、そんな幸運に 恵まれた人は、数える程しかいない。ましてや、…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 2 かなは、よちよち歩きの頃から、富士山をみるのが大 好きでした。 「このはなさくや姫さま。今日は、じいちゃんと一緒に、 町へ行ってきたの。楽しかったわ」 母のいないかなは、富士山に住んでいるこのはな…

富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女 富士山の好きな少女 1 「富士山には、このはなさくや姫が住んでいる」という いいつたえがあります。 ふもとの村に、少女とおじいさんが、二人で暮らして いました。 少女の名前は、かな。 「じいちゃん、疲れたでしょ。かたをた…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 7 その後。 おとなしかった黒は、だんだんに気が荒くなり、あば れるようになりました。 そのため、長者はお玉がかわいがっていた黒を、や むなく首を切り殺してしまいました。 両親は黒を供養するために、小…

牛に乗ったお玉さま

[童話]牛に乗ったお玉さま 牛に乗ったお玉さま 6 翌朝。 底なし池のほとりで、はきものが二足、そろえておい てあるのがみつかりました。 お玉の赤い緒のぞうりと、坊さんの白い緒の下駄で した。 お玉も、いつしか坊さんのことが好きになっていたの です。…