2021-11-01から1ヶ月間の記事一覧

海彦山彦

[童話]海彦山彦 海彦山彦 4 「山彦。おれのつり道具を返してくれ」 「兄さん、ごめん。つり針をなくしてしまった」 「何、つり針をなくしたと。あのつり針は、おれが一番 大切にしているものだ。許さん。明日、海へ行って、 つり針をさがしてこい」 海彦…

海彦山彦

[童話]海彦山彦 海彦山彦 3 山彦は、兄が大切にしているつり道具を持ち、わくわ くしながら海へでかけて行きました。 ところが・・・。 何時間たっても、一匹も魚がつれません。 簡単に魚がつれると思っていた山彦は、がっかりしま した。 その上、兄が大…

海彦山彦

[童話]海彦山彦 海彦山彦 2 ある日。 「兄さん。たまには山へ行って、きじや鹿をとって みないかい」 「おれは、狩りはできない。いやだ」 海彦は、ことわりました。 「兄さん。おれ、海へ行って、大きな鯛をつってみ たいんだ」 「馬鹿をいえ。つりをし…

海彦山彦

[童話]海彦山彦 海彦山彦 1 木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ)が、火の 中でうんだ三人のこどもたちは、りっぱな若者になり ました。 兄の火照命(ほでりのみこと)は海彦、弟の火遠理命 (ほをりのみこと)は山彦とよばれています。 海彦は毎日…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 10 火照命(ほでりのみこと)・火須勢理命(ほすせりの みこと)・火遠理命(ほをりのみこと)の三人です。 兄の火照命(ほでりのみこと)は海彦、弟の火遠理 命(ほをりのみこと)は…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 9 邇邇芸命は、「誰のこどもかわからん」と、小声でつぶ やきました。 そんな邇邇芸命をみて、木花之佐久夜比売は悲しく 思いました。 木花之佐久夜比売は、出産をするため戸のない家に…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 8 すると・・・。 「木花之佐久夜比売よ。私は、あなたとは一晩しか一 緒にすごしていません。だから、お腹のこどもは、私 のこどもではありません。あなたが以前につきあって いた国津…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 7 その日。 邇邇芸命と木花之佐久夜比売は、結婚しました。 二人は、楽しい時間をすごしました。 次の朝。 邇邇芸命は反乱をくりかえす国を平定するため、遠 くの国へ旅立っていきまし…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 6 「私が娘二人をさしあげたわけは、石長比売を妻に すれば、邇邇芸命さまの命は、岩のように永遠に長 く続くことでしょう。木花之佐久夜比売を妻にすれば、 桜が美しい花を咲かせるよ…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 5 石長比売をみた邇邇芸命は、驚きました。 石長比売は、岩のようにごつごつした醜い顔をして いたからです。 「妹は桜の花のように美しいのに、なぜ姉は醜いの だろう。あの二人、本当…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 4 「どんな要件でしょうか」 「さきほど、邇邇芸命は、海岸で木花之佐久夜比売 さまにお会いしたそうです。そして、一目ぼれしてし まったのです。そんなわけで、木花之佐久夜比売さ ま…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 3 「失礼しました。私は、邇邇芸命。高天原にいる天照 大御神の孫です」 「天照大御神さまのお孫さまとは。びっくりしました。 返事は、父からお聞きください。急いでおりますので 失礼…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売 2 すると・・・。 木花之佐久夜比売は、はずかしそうに下をむいて しまいました。 「兄弟は何人ですか」 「姉が一人います」 「名前は?」 「石長比売(いわながひめ)といいます」 「…

木花之佐久夜比売

[童話]木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 木花之佐久夜比売(このはなのさくやひめ) 1 邇邇芸命(ににぎのみこと)は、大国主命から譲られ た葦原中国を統治するため、高天原から降りてきま した。 ある日。 邇邇芸命が、笠沙の岬を歩いていると…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 8 「まーちゃん、かなおばちゃんがきたよ」 耳もとで、おかあさんの声がしました。 「まーちゃん、元気?」 居間の方から、かなおばさんの元気な声が聞こえて きました。 「かっこう、かっこう」 裏の林では、かっこうが…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 7 「よかったね、まーちゃん。その調子で、ゆっくりゆっ くり歩いてごらん」 おばさんの声にはげまされ、おそるおそる三歩ほど 歩きました。 気がつくと、まーちゃんは、虹の橋の上を、とことこ 歩いていました。 「まー…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 6 「まーちゃん、よく立てたねぇ。今度は、虹の橋の上を 歩いてごらん」 おばさんの声が聞こえてきました。 そういえば、オルゴールの音が、さっきからずっと聞こ えています。 まーちゃんは足をふんばって、おそるおそ…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 5 すると・・・。 また、おばさんの声が聞こえました。 「まーちゃん。まーちゃんは、もう立てるのよ。しっかり 足をふんばって、立ってごらん」 おばさんにいわれたように、まーちゃんは、虹の橋の 上で立ってみようと…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 4 まーちゃんは、虹の橋によじのぼろうとしました。 でもつかまる所がないので、すってんころりんと、ころ がってしまいました。 十分後。 虹の橋に、やっとよじのぼることができました。 虹の橋は、太陽にあたり、きら…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 3 オルゴールのねじにさわった時、突然オルゴールが なりだしました。 すると…。 オルゴールの中から、七色の帯のようなものが、する するっとでてきました。 そして、空に美しい虹がかかりました。 「なんてきれいな虹…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 2 まーちゃんは、おかあさんの部屋で、オルゴールを みつけました。 オルゴールは、かなおばさんからのプレゼント。 ワインレッド色のすてきなオルゴールでした。 まーちゃんは、かなおばさんが大好き。 オルゴールには…

虹の橋の上で

[童話]虹の橋の上で 虹の橋の上で 1 「かっこう、かっこう」 裏の林で、かっこうが鳴いています。 まーちゃんは、かっこうの声で、目がさめました。 まーちゃんは、七ヶ月の男の子。 ようやくつかまり立ちができるようになりました。 「ぼく、つかまり立…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 11 すると・・・。 また、大空に星の文字が並びました。 「わー、すごい!! 星の点字みたい」 少女は寒さもわすれて、少年と心の中で話をしました。 「ほら、みてごらん。流れ星だよ」 おとうさんの声がしました。 流れ星…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 10 なんで・目のみえない・ぼくに・星が・みえるのか・わ からないけれど・ぼくの・目には・はっきり・星が・みえ ます。いつも・点字の・手紙を・ありがとう」 なんと、星が点字のようにならんでいたのです。 少女も、心の…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 9 「おとうさん、早くきてー。星が変なの」 少女は、大声でおとうさんをよびました。 「何だ、これは・・・」 空をみたおとうさんは、びっくりしてさけびました。 そうです。 大空には、誰かが号令をかけたかのように、星が…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 8 すると・・・。 どこからか声が聞こえました。 「少女よ、私がお手伝いしてあげよう」 少女は、あたりをみまわしました。 しかし、誰もいません。 少女は、もう一度空をみあげました。そういえば、今夜のオリオン座は、な…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 7 「わー、なんて美しい星だろう!! こんな美しい星 はみたことがない」 少女は、宝石のように輝いている星にみとれていま した。 「この美しい星を、少年にみせてあげたい」 少女はそう思いました。 しかし、目の見えない…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 6 その後、二人は何度か手紙のやりとりをしました。一月のある日。 雪が降りました。 朝から降っていた雪は、夕方には30センチくらい積 もりました。 家も庭も、そして畑も雪で真っ白になりました。 夜になり、やっと雪が…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 5 少女は、おとうさんから「点字」を教えてもらいました。 点字は、目の不自由な人たちが使う文字です。 少女は、「少年に手紙を書きたい」、その一心で、難 しい点字を一生けんめいおぼえました。 庭の梅もどきの実が橙色に…

星のメール

[童話]星のメール 星のメール 4 「ぼくは目がみえません」 少女は、少年がそういわなかったならば、少年が目 が不自由だということを知らずにいたかもしれません。 それ位、少年の動作は自然でした。 少女は、この春、小学校へ入学したばかりでした。 だ…