2019-06-01から1ヶ月間の記事一覧

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 6 そのおばさまが病気になり、何ヶ月も床に ついたままでした。 「おばさま、早く元気になってくださいね」 かきつばたは、毎日おばさまのみまいに行 きます。 「かきつばた、おみまいありがとう。残…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 5 梅雨があけた七月のある日。 その日は、からりと晴れた良い天気でした。 かきつばたは、一人で霧が峰へ行こうと思い ました。 大好きなおばさまに、きすげの花をプレゼン トしようと思ったのです。 …

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 4 しかし、その少女が、どこに住んでいるのか、 誰も知りませんでした。 「一度で良いから、その美しい少女に会って みたい」 「かきつばたと友達になりたい」 村の少年たちは、みんなかきつばたにあ…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 3 かきつばたのそばにいると、どの人もほっとし、 心がなごみました。 そんな少女だったので、神様や女神さまたちか ら、「かきつばた、かきつばた」といって、か わいがられています。 「この間、霧…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 2 黒い長い髪、すきとおるような白い肌、小さな かわいいくちびる、うっすらと紅をさしたよう なほお、すらりとした体、澄んだ清らかなひとみ。 かきつばたのひとみは、いつもきらきら輝いて いました…

かきつばたになった少女

[童話]かきつばたになった少女 かきつばたになった少女 1 昔、昔、ずぅーと昔。 神様が私たち人間と同じ国に住んでおられた 頃のお話です。 八ヶ岳のふもとの高原には、おおぜいの女神 さまたちが住んでいました。 その中に、「かきつばた」という名前の、…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 72 ふしぎなリュック 12 「古杉先生はね・・・ずっと昔、小桜姫の・・・ だった人よ。二人がこの世で会えて、本当に よかったね」 風が桃の花とおしゃべりしていました。 でも、二人の耳には、何も聞こえなかったの です。 …

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 71 ふしぎなリュック 11 気がつくと、鈴ももとの鈴にもどっていました。 「十年後、桃の花が満開になった日、またこの 丘であおう」 「先生、きっとよ。いつまでも私のことわすれ ないでね」 「わすれるものか、かな。十年…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 70 ふしぎなリュック 10 遠い昔、三浦家に伝わったリュックで、行きたい と思う所へ、さっと飛んでいけるふしぎなリュッ クなのです。かなさんが好きな月や星へも行けま すよ。なくなったおとうさんたちが住んでいる国 へも…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 69 ふしぎなリュック 9 すると、先生の背中のリュックが、鈴めがけて ころんところがってきました。 そして、灰色のリュックも、ピカッピカッ、キ ラッキラキラと、黄金色に輝きだしたのです。 「なんて美しい鈴の音だろう。…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 68 ふしぎなリュック 8 うちじにしている人々…血まみれになり、なき さけんでいる人々。 「もしかしたら…私は昔三浦半島の城に住んで いたことがあったのかもしれない。そして、か なもいっしょに暮らしていたのかもしれない…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 67 ふしぎなリュック 7 「リーン、リーン、コロンころん」 「リーン、リーン、コロンころん」 かなは、むじゃきに何度も鈴をふっています。 すると…。 先生の頭の中に、遠い昔のことが、ぼんやりと うかんできたのです。 ど…

みほようこのブログ

ブログ「風の神様からのおくりもの」をhttps://dowakan.hatenablog.com/読んでいただきありがとうございます。ブログ「ほほえみ」と「みほようこの日記」も、 読んでいただきたいと思います。 ほほえみhttps://youko510.hatenablog.com/「花の写真」と童話「…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 66 ふしぎなリュック 6 その時、かなのポケットの中に入っていた鈴が、 「リーン・リーン・コロンころん」と鳴り出し ました。 ポケットの中で、鈴がうれしそうにおどってい るような感じでした。 かなはポケットの中から、…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 65 ふしぎなリュック 5 すると、古杉先生がやってきました。 「かな、何をみているの?」 「先生、あの鳥はなんという名前?」 「ギィーギィーって、鳴いていただろ。あれはね、 こげらという鳥だよ。きつつきの仲間だよ」 …

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 64 ふしぎなリュック 4 古杉先生がこの学校にきてから、二週間くらい たちました。 かなとりゅうは、丘の上へ散歩に行きました。 丘には大きな桃の木があり、桃の花が何輪か咲 きはじめたところでした。 「ギィーギィー」 ボ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 63 ふしぎなリュック 3 古杉先生は、このごろ前世について考えることが 多くなっていました。 先生は、春休みに三浦半島へ旅行に行きました。 油壷を訪れた時、とてもなつかしい気がしました。 「初めてきた場所なのに、なぜ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 62 ふしぎなリュック 2 「なぜ灰色のリュックのことが、気になるの だろうか」 かなはふしぎに思いました。 古杉先生もかなの顔を初めてみた時、いつか どこかで会ったことがあるような、とてもな つかしい気がしました。 「…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 61 ふしぎなリュック 1 かなは四年生になりました。 かなの学校へ、古杉先生が転校してきました。 小柄な色の白い先生でした。 先生はかなのクラスの担任になりました。 先生は、いつも背中に、灰色のリュックをしょっ てい…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 60 お月さまの耳かざり 8 その夜、かなはお月さまをみました。お月さまの 顔は、昨夜よりふっくらしています。 「お月さま、昨日は星の耳かざりをありがとう。 耳かざりのおかげで、かあちゃんは少し元気にな りました。お月…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 59 お月さまの耳かざり 7 そして、おかあさんの耳に、星の耳かざりを つけてあげました。 すると・・・。 おかあさんのほおが、ほんのり赤くなりました。 次の朝、かなが目をさますと、おかあさんは 朝ごはんのしたくをして…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 58 お月さまの耳かざり 6 かなは、散歩の途中で、お月さまから星の耳 かざりをもらったことを話しました。 おかあさんは乳にがんができて、この間手術 をしたばかりです。 おかあさんは乳を切ってしまったので、手が 上にあ…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 57 お月さまの耳かざり 5 「なんてすてきな耳かざりだろう。うれしい なぁ。お月さま、どうもありがとう」 お月さまにむかって、かなは何度もお礼をい いました。 かなとりゅうは、いそいで家に帰りました。 「かあちゃん、…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 56 お月さまの耳かざり 4 すると、どこからか声が聞こえてきました。 「かな、この星の耳かざりをあげよう。この 耳かざりをつけるとね、どんな願い事でもか なうのだよ。ただし一回きりだけれどね」 その声は、どこかで聞い…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 55 お月さまの耳かざり 3 今日のお月さまは細い三日月です。 その時、お月さまにむかって、きらっきらっ と光りながら、星が近づいてくるのをみつけ ました。 その星はだんだんにお月さまに近づいてきます。 あの星はたしか…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 54 お月さまの耳かざり 2 雲ひとつない真っ青な西の空が、だんだんにう すいクリーム色に変わってきました。 かなとりゅうは、たちどまって西の空をじっと みていました。 すると、空の色がうすい橙色から、濃い橙色に なり…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 53 お月さまの耳かざり 1 秋のある日。 かなはりゅうといっしょに、散歩に行きました。 りゅうは散歩が大好き。 かなの顔をみると、「散歩にいこう、散歩にい こう」と、大声でさいそくします。 かなとりゅうは、いつもの道…

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 52 校長先生と桜の鈴 10 校長先生から桜の鈴をもらったかなは、毎日 りゅうと散歩しました。 「りゅう。りゅうはどこからきたの?」 「ぼくはね、遠い国からきたんだ。かなさん のおとうさんにたのまれて、この国へきたん …

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 51 校長先生と桜の鈴 9 「とうちゃんがなくなる時、小桜姫さまは二つ の鈴を大切にしていたのだよって、話してくれ たから・・・」 「そうだったのか…。かな、おとうさんがそう いったのか。この鈴はね、小桜姫が大切にして …

ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴 ふしぎな鈴 50 校長先生と桜の鈴 8 「かな、この鈴をふるとね、花や小鳥とお話 ができるのだよ。でも、本当にやさしい心を もっている時しか、花や小鳥とお話すること はできない。かなが今のようなやさしい心を ずっともち続けることが…