2020-09-01から1ヶ月間の記事一覧

竹取物語

[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 7 「姫。ともかく、あのかたを、家の中へ入れてあげま しょう。この世では見ることができない皮衣だといっ ています。姫、本物だと思いなさい。あのかたを、こ れ以上困らせてはいけませんよ」 おじいさんは、安倍…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 6 安倍は、化粧を丁寧にして、出かける支度をしま した。 かぐや姫の婿として、屋敷に泊まることになるだろ うと思い、木の枝に歌をつけて持って行きました。 かぎりなき思ひに焼けぬ皮衣 袂かわきて今日こそは着…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 5 「あと五十両払えば、貴重な皮衣を手に入れること ができる。それにしても、よく皮衣をみつけてくれた な」といい、安倍は唐の方に向かって手を合わせま した。 皮衣が入っている箱を見ると、いろいろの瑠璃をと…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 4 あきらめていたら、天竺の聖者が、この国へ持って きたという皮衣が、西の山寺にあるという噂を聞きま した。早速、朝廷にお願いし、朝廷の力ぞえで、や っと皮衣を買い取ることができました。 でも、安倍さまか…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 3 家来の小野が筑紫へ帰国し、都へ帰ってくると聞き、 安倍は小野の帰りを待ちました。 小野は、安倍がさしむけた足の速い馬に乗って、筑 紫から七日で都へ帰ってきました。 小野が持ってきた王けいの手紙には、こ…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 2 「火鼠の皮衣は、唐にはありません。噂には聞いた ことがありますが、見たことはありません。手紙に書 いてあるように、この世にある物なら、もしかしたら 天竺の人たちがこの国に持ってきているかもしれま せん…

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[童話]竹取物語 安倍の右大臣と火鼠の皮衣 1 右大臣の安倍御主人(あべみうし)の家は、裕福な 家でした。 一族も栄えています。 安倍は、「火鼠の皮衣」を手に入れるため、日本に やってきた唐船の王けいに、手紙を書きました。 「唐にあるという火鼠の皮…

竹取物語

[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 18 皇子は、自分がしたことが恥ずかしくて、みずから 姿を隠したのでしょうか。 その後、何年かたってから、ひょつこり帰ってきた のでしょうか。 この玉の枝事件をきっかけに、「たまさかに」という ことば…

花のほほえみ

こすもす

竹取物語

[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 17 そして、金工たちがかぐや姫からもらった褒美を全 部とりあげ、自分の物にしてしまいました。 工匠たちは、無一文になり逃げ帰りました。 その後。 くらもちの皇子は、「これ以上の恥はない。かぐや姫 と…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 16 一方、おじいさんは、あれほど皇子と意気投合した のに、だまされていたのかと思うときまりが悪く、しょ んぼりして座っています。 皇子は、立ったり座ったりして落ち着きません。 日が暮れてから、皇子は…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 15 かぐや姫は、「くらもちの皇子と、結婚しなくてはな らないのか」と悩んでいた心がすっきりし、晴れ晴 れした気持になりました。 おじいさんをよんでいいました。 「あの玉の枝をみた時、本物かしらと思い…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 14 このさわぎをかぐや姫が聞き、金工が差し出した文を 読むと、こんなことが書いてありました。 「くらもちの皇子は、千日の間、身分の低い金工たち と同じ家に隠れ住み、立派な玉の枝を作らせました。 そし…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 13 「内匠寮(たくみづかさ)の金工、綾部の内麻呂が申 し上げます。玉の木の枝を作るために、五穀を断ち、 毎日神仏に祈りながら、千日あまり玉の枝の制作を しました。でも、くらもちの皇子から、まだ玉の…

竹取物語

[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 12 昨日、難波から都へ帰りました。 海の水でぬれた衣を着替えもしないで、こちらに直 接きたのです。 おじいさんは、皇子の話を聞き、大変な思いをして、 玉の枝をとってきたのだなと思いました。 皇子の話…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 11 その川には、いろいろな色の玉で作った橋がかか っていました。 橋の近くには、光輝く木が数えきれないほど立って います。 ここへ持ってきた木の枝は、その中ではあまり美し いと思えないものでしたが、…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 10 すると・・・。 美しい天女がでてきて、銀の椀で水をくんでいました。 あわてて船からおりて、「この山の名前は」と聞くと「蓬 莱山です」といいました。 これを聞いた時のうれしさ。 こんなにうれしかっ…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 9 おそろしい妖怪に食べられそうになったことも。 貝を食べ、命をつないだこともあります。 道中、何度か病気になりました。 出航してから五百日目の朝八時頃。 海のむこうに、かすかに山が見えました。 船を…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 8 すると、皇子が話を始めました。 二年前の二月十日。 難波から船に乗り出発しました。 蓬莱山の方向がわからないので、心細かったけれ ど、風にまかせて航行しました。 航海を続けていれば、いつかきっと蓬…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 7 すると、姫が。 「私は、じいのいうことを、ことわることができなかった ので、くらもちの皇子には、蓬莱の玉の枝を・・と、い いました。蓬莱の玉の枝など、たやすく持ってくるこ とはできないだろうと思っ…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 6 「くらもちの皇子は、姫が希望した蓬莱の玉の枝を 持ってきたのですよ。姫、もう皇子の申し出をことわ ることはできません。自宅へも寄らず、旅の姿のま ま、姫の所へきたのです。皇子と結婚しなさい」 おじ…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 5 「苦労して、玉の枝を持ってきました。かぐや姫にみ せてください」 おじいさんは、皇子が持ってきた玉の枝と手紙を持 って、かぐや姫の部屋へ行きました。 いたずらに身はなしつとも玉の枝を たおらでさら…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 4 皇子は、旅に疲れたという様子で、ぐったり座って います。 皇子は、難波の浦での迎えがすむと、玉の枝を立 派な箱に入れ、おおいをかぶせて都へ運びました。 そして、召使いたちをつかい、「くらもちの皇子…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 3 所領の荘園十六ヶ所をはじめ、全財産を投じて、 金工たちに玉の枝を作らせたのです。 金工たちは、かぐや姫が希望した通りに、根は銀 ・幹は金・実は白い玉の枝を、みごとに完成させま した。 皇子は、計略…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 2 「くらもちの皇子は、こんなふうに、みんなに見送 られて出発しました」と、人々に信じさせたのです。 三日後。 皇子は人目につかないように、船で帰宅しました。 帰宅した皇子は、計画通りに、当時の一流の…

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[童話]竹取物語 くらもちの皇子と蓬莱の玉の枝 1 くらもちの皇子は、はかりごとにたけた人でした。 「体の具合が悪いので、筑紫の温泉へ行き療養し てきます」 そういって、朝廷から休暇をもらいました。 そして、かぐや姫には、「これから玉の枝をとりに行…

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[童話]竹取物語 石作の皇子と仏の御石の鉢 3 皇子は、鉢を門口になげ捨て、それでもへこたれず に、かぐや姫に返歌を詠みました。 白山にあへば光の失するかとはちを捨てても頼まるるかな かぐや姫はあきれてしまい、返歌はしませんでした。 皇子は、弁解を…

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[童話]竹取物語 石作の皇子と仏の御石の鉢 2 皇子は、その鉢に、たっぷり煤墨を塗り、錦の袋に 入れ、かぐや姫の家へ持って行きました。 かぐや姫が、石作の皇子が持ってきた鉢をみると、 鉢の中に手紙が入っています。 ひろげてみると、次のような歌が。 …

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[童話]竹取物語 石作の皇子と仏の御石の鉢 1 石作の皇子は、「天竺に一つしかないという鉢を探 しに行っても、どうせ見つけることはできないだろう」 と思いました。 そこで、皇子は、かぐや姫の家には、「今日、天竺 へ石の鉢をみつけに行ってきます」と、…

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[童話]竹取物語 五人の求婚者への難題 3 「姫。どれも難しい品ばかりだね。この国にはないも のばかりだし。五人にどう伝えたらいいのだろう」 「じい、何が難しいのでしょう。私への愛情があれば、 何も難しいことはありません」 かぐや姫がいいました。 …