[童話]ふしぎな鈴
ふしぎな鈴 28
じいちゃんとばあちゃん 4
小さく縮れていたせみの羽が、時間がたつに
つれ、だんだんにのびてきます。
体の色も、うすい茶色に変わってきました。
そして最後には、こい茶色になりました。
二人は、羽が完全にのびきるまで、じっとみ
ていました。
「じいちゃん…」
かなは胸がつまり、何もいえませんでした。
「かなもこのせみのように、おかあさんのお
なかから、生まれてきたのだよ」
おじいさんがぽつりといいました。
おじいさんといっしょにみたせみの羽化は、
忘れられない思い出になりました。
おじいさんもおばあさんも、花や小鳥が好き
な心のやさしい人でした。
つづく
「ふしぎな鈴」は、
みほようこ三冊目の童話「ふしぎな鈴」
に収録されています。
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