ふしぎな鈴

[童話]ふしぎな鈴


ふしぎな鈴 29


じいちゃんとばあちゃん 5


かなが五才の時。
おじいさんが病気でなくなりました。
脳こうそくでした。
かなは、人の死に初めてであいました。
温かだったおじいさんの体が、氷のように冷
たくなっていくのが信じられませんでした。
「じいちゃん、じいちゃん」
いくらよびかけても、おじいさんは何も返事
をしてくれません。


「じいちゃーん、じいちゃんはどこー」
かなはおじいさんの家へ行くたびに、おじい
さんを探して歩きました。
でも・・・おじいさんはどこにもいませんで
した。
「死ぬということは、姿がみえなくなるとい
うことなのかしら」
かなはそう思いました。


いつも温かな心でかなに接してくれたおじい
さん。
おじいさんとのなつかしい思い出は、かなの
心に強く残りました。
「人はいつか死んでしまうのだな」というこ
とを、かなはおじいさんの死を通して知りま
した。


        つづく





「ふしぎな鈴」は、
みほようこ三冊目の童話「ふしぎな鈴」
に収録されています。


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