笛の音よ、永久にひびけ

[童話]笛の音よ、永久にひびけ


笛の音よ、永久にひびけ 16


若者と村の人たちは、何本も何本も、笛を作
りつづけました。
しかし、澄んだ音色のする笛はできませんで
した。
「かえでの木では、だめなのかもしれない。
あきらめるよりしかたがないのか」
若者は、弱気になりました。


「かえでのためにも、私だけでもがんばって
みよう」
若者は寝る間もおしみ、毎日笛を作りつづけ
ました。
「かえでよ、もっと長生きしたかっただろう
に、人間のかってで切りたおしてしまってご
めんね」
若者は、笛を作りながら、かえでに心からわ
びました。


        つづく





「笛の音よ、永久にひびけ」は、
みほようこ四冊目の童話集「ライオンめざめる」
に収録されています。


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