[童話]瑠璃寺の青獅子
瑠璃寺の青獅子 11
身を清めた男は、数十本ののみを、一本ずつてい
ねいに研いでいきました。
仏師にとって、道具の手入れは、とても大切な仕事
でした。
男は、若い時から、いくつもの仏像やお面を彫りま
した。
でも、獅子頭を彫るのは、初めてでした。
「瑠璃寺は、何百年も続いている由緒ある寺。その
寺にふさわしい獅子頭を、わしは彫ることができる
だろうか」
男は、不安でした。
「わしは、若い時から、いくつもの仏像やお面を彫
ってきた。だから、獅子頭だって彫れる」
男は、自分の心に強くいいきかせました。
つづく