竜神になった三郎

[童話]竜神になった三郎


竜神になった三郎 22


「おまえは本当に不思議な男じゃのぅ。そうだ、
おまえを地の国の王子に迎えよう」
「えっ、私が地の国の王子ですって?」
「そうじゃ。人を少しも疑うことを知らないおま
えを、この国の王子にしてあげよう。じつは王様
には、あとつぎがなくて、困っていたところじゃ。
これからおまえはこの国でのんびりと暮らすよい」
そういうと、神様はどこかへ行ってしまいました。


「いやー、困ります。私には妻がいます。私の帰り
を、今か今かと待っています。だから私はどうして
も家に帰らなくてはなりません」
三郎は、大声でさけびました。
しかし、神様は、三郎のいうことなど、聞いてくれ
ませんでした。
そして、三郎は、いやおうなしに地の国の王子にさ
れてしまったのです。


       つづく




竜神になった三郎」は、
みほようこ二冊目の童話集「竜神になった
三郎」に収録されています。


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