福寿草になった少女

[童話]福寿草になった少女


福寿草になった少女 4


二十年が過ぎました。
二人とも、四十すぎになりました。
「もう年だから、こどもは無理ね」
「こどものことを、毎日お願いしている
のに、なぜ明神さまは、わしらの願いを
聞いてくれないのじゃろ」
二人は、こどものことを、あきらめかけ
ていました。


そんな春のある日。
庭の桜が、満開になりました。
「今年の桜は、みごとじゃのぅ」
「そうねぇ。こんな美しい桜は、ひさしぶ
りね」
二人は、桜の花にみとれていました。


すると。
お手伝いの人が、あわてて長者をよびにき
ました。
「だんなさま、だんなさま。た、大変です」
「何じゃ。騒々しい」
「だんなさま、門の所に赤ちゃんが・・・赤
ちゃんが捨てられています。


          つづく   





福寿草になった少女」は、
みほようこ二冊目の童話集「竜神になった
三郎」に収録されています。


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