鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  9


三郎には、なにがなんだかわかりませんでした。
夢をみているような感じでした。
「とにかく、和尚さまに知らせなくては」
三郎は、観音さまをもって、急いで寺へ帰りました。


「和尚さま。た、大変です」
「どうしたのじゃ。三郎さ」
「裏山に、こんなものが落ちていました」
三郎は、観音さまを和尚にわたしました。
「三郎さ。これは、観音さまではないか。どうしたの
じゃ」
「はい、和尚さま。裏山へ行ったら、大きな黄金色
の鹿が、突然わしにおそいかかってきました」
「何? 黄金色の鹿だと。この世に、そんな鹿がい
るのか」


            つづく