井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


    井戸で鳴く黄金色のにわとり  2


城代は、武田信廉
信玄の弟でした。
信廉は、和歌や書・絵・彫刻などをたしなむ風流な
人でした。
城には、るり姫という心のやさしい姫がいました。


梅の花が何輪か咲き始めた春の日。
東の空に輝いていた金星が、南アルプスの向こうへ
消えていきました。
すると、東の空がだんだんに明るくなりました。
「ぱさっ」
にわとりが、空に向かってまいあがりました。
るり姫がかわいがっている、黄金色のにわとりでした。


              つづく