井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


    井戸で鳴く黄金色のにわとり  25


「なぜだ」
「逃げているうちに、おつきのものとはぐれてしまっ
たようです。そして、織田の兵士たちに、井戸の所
までおいつめられたようで・・・」
「そうか。かわいそうに・・・」
信廉は、そういったまま、だまってしまいました。


十日後。
大島城を逃れた信廉たち一行は、故郷の甲斐にも
どりました。
「わしは、るり姫を守ってあげることができなかった。
今度の戦では、おおぜいの人が怪我をしたり、なく
なった。戦とは、むなしいものじゃのぅ」


              つづく