井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


    井戸で鳴く黄金色のにわとり  3


にわとりは天守閣にとまると、「こけこっこー」「コケコ
ッコー」と、大声で時をつげました。
「あっ、こっこの声だ。こっこ、おはよう」
姫は、にわとりの声で、目をさましました。
「姫さまのにわとりが鳴いている。さあ、おきなくては」
城に住んでいる人たちは、にわとりの声で目をさまし
ます。


夏のある日。
「みーん、みーん」
松の木で、蝉が鳴いています。
「姫、ちょっと」
「なぁに、おとうさま」
「今は、戦国の世。なにがおこるかわからない。だか
ら、一人で外へ出ないように」
「おとうさま。城のまわりなら、いいでしょ」


              つづく