海彦山彦

[童話]海彦山彦


      海彦山彦 26


豊玉比売は、山彦がのぞき見したことは許せなか
ったけれど、山彦のことは大好きだったのです。
山彦のことを忘れることができない豊玉比売は、
玉依比売に歌をことづけました。 


   赤玉は緒さえ光れど白玉の

     君が装ひし貴くありけり


豊玉比売の歌をうけとった山彦は、こんな歌を返
しました。

 
   奥つ島鴨著(ど)く島に我が率寝し

     妹は忘れじ世のことごとに
  

            つづく