[童話]福寿草になった少女
福寿草になった少女 15
やっと、守屋山につきました。
何かにとりつかれたように、福はあてもなく
山の中を歩きまわりました。
黄金色の花といっても、どんな形をしている
のか、どれくらいの大きさなのか、福には何
もわかりません。
春がきたといっても、山の春は遅く、木の芽
がほんの少しふくらんでいるだけです。
どこをさがしても、黄金色の花など、ひとつ
もありません。
枯葉が一面に落ちているだけでした。
福の足音と、鈴の音だけが、静かな山の中に
ひびきわたります。
つづく
「福寿草になった少女」は、
みほようこ二冊目の童話集「竜神になった
三郎」に収録されています。
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