[童話]かきつばたになった少女
かきつばたになった少女 22
「山彦さんは、私の顔はとても美しいといった
けれど、本当はみるにたえないみにくい顔だっ
たのね」
「そんなことはない。きみの顔は、女神さまの
ように美しい。まぶしいくらいの美しさだ」
「山彦さん、おせじをいわないで」
「本当だよ。きみの顔は、なんともいえない優
しい顔だ。きみの心の優しさが、そのまま顔に
でている」
「でも・・・今水面に顔をうつしてみたら、私
はとてもみにくい顔をしていたわ」
「それは、強い風が吹いてきて、水面が波立っ
たからだよ」
山彦がいいました。
つづく
「かきつばたになった少女」は、
みほようこ四冊目の童話集「ライオンめざめる」
に収録されています。
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