竜の姿をみた少女

[童話]竜の姿をみた少女


竜の姿をみた少女 37


わしは、神様に許しをもらい、この村にもどっ
てきた。しかし、妻はどこにもいなかったのじゃ。
わしは、「おっかあ、おっかあー、どこにいるー。
いたら返事をしてくりょー」とさけびながら、妻
をさがして歩いた」


「奥さまは、どうしていなくなったのですか」
「妻は、何カ月も、わしをさがしたらしい。でも、
わしをみつけることができなかった。疲れはてた
妻は、諏訪湖へ身をなげようとしたのじゃ。その
時、妻のおとうさんがあらわれ、諏訪湖の奥へ妻
をつれていったらしい。後で知ったのだが、妻は
ある神さまの娘だった。妻は、わしが帰ってくる
のを、諏訪湖の奥で待っていてくれた。いつ帰っ
てくるかわからぬわしを、じっと待っているのは
つらかっただろう。妻には、気の毒なことをして
しまった」


         つづく







「竜の姿をみた少女」は、
みほようこ五冊目の童話集「竜の姿をみた少女」
に収録されています。


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