竹取物語

[童話]竹取物語


帝、かぐや姫の昇天を確かめる 6

 
二人に心配をかけてしまったことが悲しいです。月の
都の人たちは、すばらしい人ばかりで、老いることが
ありません。悩み事もありません。そんないい所へ帰
ろうとしているのに、私は少しもうれしくありません。
二人が老いていく姿を見守ってあげることができない
ので、後髪をひかれるような気がします」
「姫、もう何もいうな」
おじいさんは、月の使者をうらみ、腹をたてています。
 
 
こうしているうちに、宵もすぎ、夜中の十二時になり
ました。
家のまわりが、昼間より明るく光り輝きました。
満月の明るさを、十も合わせたような明るさで、人の
顔の毛穴さえみえるほどの明るさでした。


            つづく