開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  10


「梅香さん。ほんとにおじゃましていいのかな」
文次が、聞きました。
「どうぞ、えんりょなく。おいしいお酒をごちそうしま
すよ」
誘われるままに、文次は女の人の後をついていき
ました。


文次は、りっぱな書院に案内されました。
床には、禅語の軸がかかっています。
唐胴の一輪ざしには、梅がさしてありました。
部屋の中は、梅の花の香りでいっぱいでした。
「文次さん。ちょっと待っていてくださいね」
そういって、女の人は、奥へ入っていきました。

    
              つづく