開善寺の早梅の精

[童話]開善寺の早梅の精


    開善寺の早梅の精  9


「わしは、戦が大きらいじゃ。罪もない人を傷つけた
り、殺したりするのをみていると、ほんとにむなしくな
る。一日も早く、戦のない世の中になってほしいもの
じゃ」
「そうですね。平和な世の中になるといいですね」
女の人は、しんみりいいました。


「どこの人だろう。京の人かな」
文次は、女の人のことが気になりました。
「文次さん。私の家へ寄っていきませんか」
「えっ?」
文次は、心をみすかされたような気がし、どきどきし
ました。
「私、文次さんとゆっくりお話がしたいのです」

    
              つづく