[童話]鹿になった観音さま
鹿になった観音さま 11
「わしは、その鹿をさがして、山の中をあちこち歩き
ました。そして、大きな杉の木の根元で、この観音さ
まをみつけたのです」
「ふしぎなことがあったものじゃのぅ。それで、うちの
タケルとチハヤは?」
「それが・・・」
「三郎さ、どうしたのじゃ」
「タケルとチハヤは、石になっていました」
「タケルとチハヤが石に? 三郎さ、どういうことじゃ」
愛犬が石になってしまったと聞き、和尚はおろおろ
しています。
「わしにもさっぱりわかりません。和尚さま、後で裏山
へ行ってみましょう」
つづく