鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  7


矢には、べっとりと血がついています。
「黄金色の鹿は、どこへ行ってしまったのだろう」
三郎は、鹿をさがして、山の中を歩きました。


気がつくと、タケルとチハヤのなき声が聞こえません。
「タケル」
「チハヤ」
三郎は、大きな声で二匹の名をよびました。
でも、犬たちはどこにもいません。
タケルたちは、どこへ行ってしまったのでしょうか。
大きな杉の木の下を通った時、根元でぴかっと光っ
ているものがありました。


            つづく