鹿になった観音さま

[童話]鹿になった観音さま


    鹿になった観音さま  12


「じゃあ、まず観音さまを本尊にお供えしよう」
二人は、本堂へ行きました。
「あっ」
和尚が、大きな声をあげました。
「どうしたのですか。和尚さま」
「三郎さ、みてごらん。十一面観音の頭から、小さな
観音さまが一つ消えている」
「消えている?」
「ほら、あそこ」
みると、小さな観音さまが一つ消えています。
「ほんとだ」
二人は、びっくりしました。


「三郎さ。黄金色の鹿は、小さい観音さまの化身だ
ったのかもしれないぞ」
「えっ、観音さまの化身?」
「そうじゃ」


            つづく