井戸で鳴く黄金色のにわとり

[童話]井戸で鳴く黄金色のにわとり


    井戸で鳴く黄金色のにわとり  4


「まあ、いいだろう。でも、くれぐれも気をつけておくれ。
それから、もう一つ」
姫は、なんだろうと思いました。
「大蛇ケ淵へ、近づかないように」
「なぜ、淵へ近づいてはいけないの」
「淵には、なにかいるらしい」


「なにがいるの? おとうさま」
「大きな蛇がいるらしい」
「大きな蛇?」
「だから、淵へは近づかないように。わかったね、姫」
信廉は、るり姫に念をおしました。
「おとうさま、ごめんなさい。私、あの淵が大好きなの。
だから、これからも、毎日淵が見える場所へ行くわ」
姫は、心の中で、おとうさんにあやまりました。


              つづく