[童話]赤い夕顔の花
赤い夕顔の花 22
わしは、この五年間、三つの城をつくることに夢中で、
そんなことにも気がつかなかった。城主になってから、
領民のことなど一度も考えたことがなかった。重臣た
ちから、領民のことも少しは考えるようにと忠告された
のに、その忠告も無視してきた。わしは、なんて情け
ない城主だったのだろう」
盛永は、目の前で燃えている城をみて、心の中でつ
ぶやきました。
「殿様、どうかなさったのですか」
犬坊が心配して聞きました。
「犬坊。戦とは、むなしいものじゃのう」
「ほんとにむなしいですね」
燃えている城をみて、犬坊がしんみりいいました。
つづく