赤い夕顔の花

[童話]赤い夕顔の花


    赤い夕顔の花  28


「さあ、殿様。少しお休みください」
疲れていた盛永は、いびきをかいて眠ってしまいま
した。
犬坊も、盛永のそばで横になりました。
犬坊は盛永やお万・長五郎とすごした三年間を、な
つかしく思い出しました。
三人とすごした三年間は、とても楽しい生活だった。
でも、辛いことも多かったなと、犬坊は思いました。


盛永さまに気にいられたことで、家臣たちからしっと
され、いやな思いをしたことも何度もありました。
領民や家臣たちから、盛永さまの悪口を聞くたびに、
くやしい思いをしたこともありました。


           つづく