[童話]赤い夕顔の花
赤い夕顔の花 50
「何、この人が、奥がただと。どこの奥がたじゃ。こん
なうす汚いかっこうをして、奥がただなんて聞いてあ
きれる。わしでさえ、そんな汚いかっこうはせんわ。
奥がただなどと、たわけたことをいうものではない」
おばあさんがはきすてるようにいいました。
「私は、権現城の城主・盛永の奥がた、お万でござ
います。昨夜、下条の夜討ちにあい、浪合の実家
へ帰る途中です。ことわりもなく、夕顔の花をとった
こと、どうかお許しくださいませ」
再び、お万は、おばあさんにわびました。
つづく