[童話]赤い夕顔の花
赤い夕顔の花 51
「何、権現城の奥がただと。あのたわけた城主の妻か」
「おばあさん。口がすぎます。夕顔の花をとったのは、
奥がたではありません。このわしです。奥がたには関
係ありません」
そうべえが、おばあさんにいいました。
「ほんとのことをいって、何が悪い。ひどい殿様だと、
みんなうわさしているぞ。殿様は、領民たちからきび
しく年貢をとりたて、三つも城をつくったそうではない
か。城なんか一つあればいいのに、何で三つも城を
つくるのじゃ。わしには、ようわからん」
おばあさんがいいました。
つづく