富士山の好きな少女

[童話]富士山の好きな少女


    富士山の好きな少女 3


「かな、知っているかい。富士山の真上から、太陽が
のぼる日が、年に二度あるそうだ。その太陽をみた人
は、一生幸せに暮らせるそうだ。でも、そんな幸運に
恵まれた人は、数える程しかいない。ましてや、たぬ
き湖に映る富士山の姿を見た人は、一人もいないそ
うだ。一度で良いから、湖に映る富士山をみたいもの
だ」
おじいさんは、夢みるようにいいました。


八月十九日の夜。
「かな、明日の朝、たぬき湖へ行こう。富士山の真上
から、太陽がのぼるような気がするんだ」
突然おじいさんがいいました。


             つづく