海彦山彦

[童話]海彦山彦


      海彦山彦 23


しばらくして、豊玉比売が、山彦の所へやって
きました。
「私のお腹には、山彦さまのこどもがおります。
天の神の御子を、海原で生むわけにはいきま
せん。だから、ここへやってきました」
「そうか、赤ちゃんができたのか。いつうまれる
のじゃ」
「もうすぐうまれます」
「それは大変だ。早く産屋をつくらなくては」


山彦は、海辺の渚に、産屋を作り始めました。
ところが・・・。
鵜の羽で屋根をふきおえないうちに、豊玉比
売はお腹の痛みに耐えられなくなり、未完成
の産屋へ入りました。


            つづく