海彦山彦

[童話]海彦山彦


      海彦山彦 14


「兄のつり針の件で、豊玉比売に相談しようとここ
へ来たのに、そのことをすっかり忘れてしまってい
た」と。
山彦のため息を聞いた豊玉比売は、どうしたのだろ
うと心配しました。


豊玉比売は、父に相談しました。
「父上。山彦さまは、ここへきて三年になりますが、
ため息などついたことは一度もありません。それな
のに、昨晩は大きなため息をついていました。なに
か心配ごとでもあるのでしょうか」


            つづく