大国主命

[童話]大国主命


    沼河比売(ぬなかわひめ) 8


根知彦に勝った大国主命は、早速沼河比売
(ぬなかわひめ)のやしきへ行き、求婚の
歌を詠みました。


私、八千矛神(やちほこのかみ)は、すて
きな妻を探して日本中を歩きましたが、み
つけることができませんでした。
遠い越の国に、賢くて美しい女性がいると
聞き、求婚するためやってきました。


刀の緒もとかず、旅の支度もとかずに、こ
うしてあなたが寝ている部屋の戸を押し、
ゆさぶっているのです。
あなたからの返事を待っていると、山では
とらつぐみが鳴き、野では雉がけたたまし
く鳴いています。


           つづく