守屋山に黄金色の花が咲いた

[童話]守屋山に黄金色の花が咲いた


守屋山に黄金色の花が咲いた 11


「兄ちゃんはきっとよくなる。兄ちゃんは
きっと優しい人になれる」
少女は何年ぶりかの兄の笑顔をみてそう思
いました。
重かった少女の心は、兄の笑顔をみて、少
し軽くなりました。


それから四百年がたちました。
雪がとける頃、守屋山のふもとの村では、
たくさんの黄金色の花が咲きます。
心の優しい少女が咲かせた黄金色の花が、今
では何万本にも増え、みごとに咲いています。


明神さまは今日も風になって、諏訪湖のまわ
りをみまわりしています。
明神さまは黄金色の花をみるたびに、心のや
さしい少女をなつかしく思いだします。
「あの少女は本当に兄思いのやさしい少女じ
ゃったのー」
明神さまは兄のために一心に祈っていた少女
の姿を、忘れることができません。


       おわり





「守屋山に黄金色の花が咲いた」は、
みほようこ初めての童話集「風の神様
からのおくりもの」に収録されています。


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