[童話]ふしぎな鈴
ふしぎな鈴 31
「この鈴はね、鎌倉の和尚さんからいただいた
鈴だよ。この春、丘へ桜を見に行った時、小桜
姫の話をしてあげたね。おぼえているかな?
この鈴は、小桜姫が大切にしていた鈴の一つだ
よ。小桜姫はね、二つの鈴を大切にしていたの
だよ。もう一つの鈴はね…」
ここまで話すと、おとうさんは安心したのか、
かなの手をしっかりにぎりました。
「かな、この鈴をいつまでも大切にするのだよ」
こういうと、おとうさんは靜かに息をひきとり
ました。
時間がたつにつれ、おとうさんの体が、だんだ
んに冷たくなっていきました。
つづく
「ふしぎな鈴」は、
みほようこ三冊目の童話「ふしぎな鈴」
に収録されています。
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