竹取物語

[童話]竹取物語


安倍の右大臣と火鼠の皮衣 7


「姫。ともかく、あのかたを、家の中へ入れてあげま
しょう。この世では見ることができない皮衣だといっ
ています。姫、本物だと思いなさい。あのかたを、こ
れ以上困らせてはいけませんよ」
おじいさんは、安倍を座敷の中へ招きいれ、お茶を
すすめました。


「今度こそ、姫はこのかたと結婚することになるだろ
う」
おじいさんとおばあさんは、そう思いました。
二人は、かぐや姫が結婚もしないで一人でいるのを
みて、心配しています。
立派な人と結婚させようと思うのに、「結婚するのは
いや」というので、二人とも姫に結婚を強いることが
できなかったのです。

 
         つづく