石上(いしのかみ)の中納言と燕の子安貝 9
中納言は、こどもっぽいことをして、失敗したことを
人に知られたくないと思っています。
それが病のもとになって、中納言はだんだんに衰
弱してしまいました。
子安貝をとれなかったことより、他人がこの話を聞
いて、どう思うかと気にしたのです。
中納言の様子を聞き、かぐや姫はお見舞いの歌を
送りました。
年を経て浪立ち寄らぬ住の江の
まつかひなしと聞くはまことか
家来が、かぐや姫の歌を読んできかせると、中納言
は気力が弱っていたが、頭をもたげて、かぐや姫に
返歌を書きました。
つづく